躁うつ病の療養生活②:感情リテラシーを活用せよ
さて、前回に続き、
躁うつ病についてのお話です。
前回は、
「感情」と「気分」の
区別についてでした。こちら↓
躁うつ病の療養生活①:「感情」と「気分」を区別せよ
感情は、
刺激に対する反応の一種で、
基本的には一過性。
気分は、
感情の変化を含みつつ、
ヒトの4つの機能のうち、
他のものも巻き込みつつ、
大きくうねる変化、でした。
その典型は、
抑うつ状態と躁状態。
海水面の例えでは、
前者は、船の入港による波、
後者は、潮の満ち引き、
でしたね。
では、この区別は、
躁うつ病の療養生活に
どんなふうに、役に立つのか?
・・・
躁うつ病の方が、
抑うつ状態になったり、
躁状態になったりする、
そのきっかけは、
いろいろ、あります。
その一つが、
感情の変化、ですね。
感情の変化があること、
それ自体は、正常です。
でも、感情が変化する、
その都度、
気分の変動にまで及んでしまう、
それは、かなり困る。
でも、躁うつ病の方は、
正常範囲の感情の変化と、
気分の変動との区別ができない方、
すごく多いです。
だから、
この区別ができるようになることは、
気分の変動をマシにするための、
重要なポイントの一つなのです。
・・・
なぜ、この区別が、
苦手なのでしょうか?
ズバリ、
感情リテラシーが苦手だから。
リテラシーとは、
「読み書き」を意味する英語です。
感情リテラシーとは、
感情に関する「読み書き」、
そのスキルを意味します。
詳しくは、こちら↓
うつ病の治し方:感情リテラシー入門①〜愛と悲しみ編
※この配付資料は、
かなりボリュームがあって、
読み込むのに気合いが入ります…
手頃なマニュアルを用意したいと思っています…
・・・
躁うつ病の方に限らず、
PSMの方は、
「どんな気持ち?」という問いに対して、
「しんどい」という言葉、
よく、使われます。
これ、まさに、
そう言うしかない感じの時、
便利な言葉なのですが…
感情リテラシー的には、
スキルを磨く余地、
いっぱいある状態です。
例えば…
(感情を色に例えて)
怒りが、赤…
落ち込みが、淡い青…
嫌悪が、茶色…
不安が、蛍光の黄色…
恐怖が、真っ黒と真っ白の点滅…
わずかな希望が、淡い緑…
…などの感情が
こころもからだも、
いっぱいに満たしている時、
それって、もう、
「真っ黒」で、
それを「しんどい」
というしか、ありませんね。
でも、
感情リテラシーのスキルが上達すると、
まず、
それぞれの色を分別して、
自覚することができるようになります。
もう、真っ黒、ではありません。
だから、それだけで、
「しんどい」が
ちょっとマシになります。
さらに、
感情リテラシーのスキルがあれば、
感情を適切に表現したり、
具体的な対処行動につなげたり、
できるようになります。
つまり、
感情を、感情として、
処理できるようになります。
・・・
これができないと、
感情の変化が生じたとき、
抑うつ状態や、
躁状態などの気分の変動で、
処理することになってしまうのです。
躁うつ病の方の多くは、
感情の変化を、
気分の変動で処理するという、
不自由な対処法を、
習慣にしてしまっている、
と言えます。
・・・
前回の架空の例、
30代の主婦の方に、
再登場いただきましょう。
うつ病で通院中だが、
最近、子供が反抗期で、
手を出して怒ることが増えた。
加えて、ここ一ヶ月、
夜中も起きて掃除をしたり、
派手な柄の洋服をクレジットで
どんどん買ったり…
「私の能力はこんなものじゃない」と
通信教育の講座を取ったり…
でも、3週後、
今までよりひどい
抑うつ状態に転じた。
診断を躁うつ病に変更後、
最近の様子について、
詳しく聞くと…
「しんどい、しんどい」と
間に挟みながら、
延々と、思いが語れた…
・・・
この感情のエネルギーのかたまり、
伝わりますか?
これ、こんな、
かたまりになる前に、
一つ一つ、ほぐして、
一つ一つ、
感情として処理できていたなら、
躁状態のスイッチを入れずとも、
処理できたと思います。
感情リテラシーのスキルが乏しい
↓
処理されない感情のエネルギーの蓄積
↓
抑うつ状態/躁状態で処理する他ない
これが、
習慣になっているのです。
・・・
さて、
躁うつ病の療養に取り組む時、
Do:
感情リテラシーを身に付けて、
感情の変化を
感情として処理できるようにする。
Don’t:
感情リテラシーが不得意なまま、
感情の変化を、
気分の変動として処理してしまう。
いかがでしたでしょうか?
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