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2019/01/28

睡眠リズムを概日リズムから整えよう②:睡眠圧と覚醒信号


さて、今回も、
睡眠リズムを整えるテーマが続きます。

前回は、こちら↓
睡眠リズムを概日リズムから整えよう①:概日リズムとは

キーワードには、
概日リズムや、
中枢の体内時計、末梢の体内時計、
そして、同調因子、
などが、ありました。

それらで構成される
からだの中のリズムの「ぶらんこ」が、
しっかりスイングしていると、
結果的に、睡眠リズムも整うぞ、
というお話でした。

今回は、その睡眠リズムについて、
特に、その実際の
「中身(構成要素)」について
見ていきましょう。

・・・

どうやったら眠剤を
やめられますか?

クリニックで
とてもよく質問を受けます。

ご自身の「睡眠力」が
回復してきたら、
やめられますね、
という返答になります。

この「睡眠力」とは、
何でしょうか?

学術用語ではありませんが、
そういう言葉で表現するしかない、
人間の能力が、
確かに、あります。

このメルマガでは、
次のように、
考えてみましょう。

睡眠力とは、
適切な時間に入眠でき、
適切な量と質の睡眠を維持し、
適切な時間に覚醒できる、
それを可能にする、
心身の能力。

そして、
その睡眠力を構成する要素として、
次の3つを考えましょう。

睡眠圧(すいみんあつ)。
概日リズムに従う覚醒信号
そして、
自律神経系の状態

順番に
チェックして行きましょう。

・・・

まず、睡眠圧とは、
脳を睡眠状態に引きずり込もうとする
その勢い、その圧力、
とい学術用語です。

具体的には、
覚醒している間に、
徐々に蓄積され、
寝ている間に分解される、
アデノシン、という物質の濃度、
と言われています。

徹夜明けの朝は、
すごい量が溜まっているわけです。
その一方で、
お昼寝をすると減る。

そいうイメージです。

でも、この量だけで、
睡眠力が決まるなら、

なぜ、
お昼のあと、ちょっと、眠くて、
でも、夕方から夜にかけて、
なんだか頭がよく冴えて、
でもまた、23時とか、
人によっては2時とか、
急に睡魔が来るのか?

ヘンですよね。

これ、なぜなのか、
完全には、わかってません。

でも、大筋は、
この睡眠圧に、次に説明する、
概日リズムに従う覚醒信号が
合算されると、説明はつきます。

・・・

概日リズムに従う覚醒信号とは、
おおよそ、

夜の4時頃に最小になり、
明け方の6時頃から強くなり始め、
日中、徐々に、さらに強くなって、
夜の21時頃にピークに達し、
以後、急激に減弱し、
夜の4時に最小になる…

という24時間で変動する、
脳を覚醒させる信号です。

先ほどの、
眠らせようとする睡眠圧と、
(上からのしかかってくるイメージでしょうか)

この、
脳を覚醒させようとする覚醒信号、
(下から支えようとするイメージでしょうか)

その両者のバランスで
睡眠力の大枠が決まる、
ということです。

睡眠圧が勝てば、寝てしまう。
覚醒信号が勝てば、起きてしまう。

・・・

では、
この二つを合算した様子を
イメージしてみましょう。

例として、
23時に寝付いたとしましょう。

その時、何が起きている?

日中に蓄積されてきた睡眠圧が、
急激に減少した覚醒信号に勝って、
睡魔が襲ってくるわけです。

ここは、
いかに寝付きがよくなるか
ポイントですね。

しっかりした睡眠圧があって、
さっと、潮が引くように
覚醒信号が去ると、
睡眠に飛び込めるわけです。

そして、睡眠に入ると、
睡眠圧は減少していきます。

覚醒信号も、2〜3時までは、
どんどん、減弱していきます。
でも、4時頃になると、
復活してきます。

そして、例えば朝の6時、
減少した睡眠圧に、
復活してきた覚醒信号が勝つと、
おはようー、と覚醒する。

ここも、寝覚めの良さ
ポイントです。

どれだけ、
覚醒信号の立ち上がりがよいか。

また、
どれだけ、睡眠圧が
夜の睡眠で除去されているか。

そして、日中になると、
睡眠圧も上昇する一方、
覚醒信号も増強する。

そのバランスが、
ちょうど、13〜15時あたりで、
若干、睡眠圧が、
勝ってしまうようです。

なので、昼すぎに、
どうしようもない睡魔に
襲われることが多い。

でも、夕方にかけて、
覚醒信号が勝って、
残業の時間帯の方が
仕事がはかどったりする。

でも、23時なると、
いつもの睡魔が…

ということで、
一日、一日が
めぐって行くのです。

・・・

そして、3つ目の要素が、
自律神経系の状態、ですね。

いま、説明した、睡眠圧と、
概日リズムに従う覚醒信号との
バランスによる、
睡眠と覚醒の波に、

どれだけ、心身が
興奮しているか、
リラックスしているか、

つまり、
交感神経系が優位か、
副交感神経系が優位か
その状態が、
上書きするように、
影響を与えます。

どんなに、
睡眠圧が強く、
覚醒信号が弱くなっていても、
興奮していると、
寝付けない、ということです。

また、
どんなに
睡眠圧が低く、
覚醒信号が強くなっていても、
交感神経系のスイッチが入らないと、
起き抜けに、
エンジンがかからない、
ということです。

また、ここには、
メラトニン、オレキシン
コルチゾールなどの
ホルモンの動きも、
入れておきましょう。

さらに、
睡眠にまつわるいろいろな習慣
(例えば、ベッドに入ってから
なかなか寝付けないことが続くと、
それが習慣になってしまう)
それらの影響も、
ここに含めておきましょう。

・・・

さて、まとめましょう。

睡眠力とは、

睡眠圧と、
概日リズムに従う覚醒信号と、
自律神経系の状態、
この3つの波が重なり合って
生み出される

すると、
どれだけ概日リズムを整えることが、
睡眠力アップに重要かが、
見えてくる。(はず…(苦笑))

もちろん、
睡眠圧も、
自律神経系の状態も、
重要なのですが、
ある程度、いままで、
メルマガでも扱ってきています。

だから、このシリーズで強調したいのは、
この、概日リズム、
ということですね。

・・・

さて、
睡眠リズムが整わない時、

Do:
まずは、自分の睡眠力を、
睡眠圧、
概日リズムに従う覚醒信号、
自律神経系の状態、
その三つの観点から、
チェックしてみる。
きっと、こんな感じか?と
イメージを書き出してみる。

Don’t:
自分には睡眠力がないんだなー、
で終わらせる。
(後続の号で、具体的に取り組める内容も
お伝えします!)

次回は、
各自で異なる、睡眠の型について、
見ていきましょう。

いかがでしたでしょうか?
同じ悩みをお持ちの方は、
ぜひ一度、お問い合わせください。